先週の月曜日、10月7日に途中経過を確認する為NFLゲームパスのアプリを開くと、サード・クォーターの途中でピッツバーグ・スティーラーズが10対6とわずかにダラス・カウボーイズをリード。これはひょっとすると粘って逆転して勝てるのでは、と一気にテンションが上がった次の瞬間、なんとダラスがいきなりタッチダウンを決め13対10と逆転[1]に成功する。
その後、再び攻撃権を得たダラスがさらにリードを広げるチャンスか、と思ったのも束の間、QBダック・プレスコットからWRジェイレン・トルバートへのロングパスが高めに流れてしまい、痛恨のインターセプション。
ピッツバーグはランと短いパスを交えながら攻撃を進め、サードダウンで残り1ヤード、フォースダウンで残り1ヤード、といった場面でことごとくファーストダウンを獲得し、最後はQBジャスティン・フィールズがタイトエンドへの短いトスのようなパスを通しタッチダウンを決め、13対17と再逆転。この時点ですでに第4クォーターの終盤で、試合残り時間は4分56秒。
キックオフの後ダラスの攻撃が始まると、残り時間は5分弱。点差が4点のため、ダラスはタッチダウンを決めて逆転するしかない。しかもできるだけ残り時間を使い切るようにしてピッツバーグに反撃のチャンスを与えないようにしたい。そう考えるとラン攻撃も適宜交えながらファーストダウンを獲得し、ゆっくり時間をかけて攻め込んでいくしかない。ターンオーバーはおろか、一本のパス不成功が命取りになりかねないシビアな状況で、まさに失敗が許されない攻撃だ。
QBダック・プレスコットはこの試合、ジェイレン・トルバート、カバンティ・ターピン、そしてエースWRのシーディー・ラムに素晴らしいロングパスを成功させた一方で、この最後の攻撃の時点ですでに3ターンオーバーを喫していた。
一回目は試合の前半、フィールドゴール圏内まで攻め込んだものの、パスプレイの際にボールを長く持ちすぎてピッツバーグの選手にサックされ、ボールをファンブルしピッツバーグがリカバー。それ以外にもパスを2回インターセプトされていた。
少なくともこの試合に関しては、安定感を欠いたプレイ振りで、正直言って分が悪い気がした。こういう状況の中、実際にフィールド上でプレイしている選手達はどういう心境なのだろうか、と選手達が直面しているプレッシャーに思いを馳せつつ、ハラハラしながら観戦を続けた。
そのような不安と緊張感とは裏腹に、この最後のドライブにおけるダック・プレスコットとダラス・オフェンスのプレイぶりは素晴らしかった。
ヘッドコーチのマイク・マッカーシーのプレイコールも冴えわたっていたし、RBリコ・ダウドルのラン、WRラムとトルバート、そしてTEジェイク・ファーガソンと、オフェンスの中心プレイヤーへのパスが大事なところで成功した。
その後、FBハンター・ルップキーへのスクリーン・パスが面白いように決まり、タッチダウンまで残り4ヤード[2]。プレスコットが自身のランで押し込もうとするも後一歩の所で阻まれる。その後、ダウドルのランの際に相手がぴったりのタイミングで飛びこんできて、ダウドルのファンブルを誘ったものの、プレスコットがリカバーし事なきを得た。
いよいよサードダウンで試合時間は残り30秒。ピッツバーグのパスラッシュから圧力を受けたプレスコットがエンドゾーンの中央、トルバートにめがけて投げたパスはそれてしまい、インコンプリート。トルバートはその低めのボールをキャッチしようとして地面に手首かどこか打ち付けてしまったのか、痛そうにもがき苦しんでいる様子が画面越しにも伝わってきた。[3]
ダラスの攻撃陣にとっては泣いても笑ってもこの試合最後のプレイとなるフォースダウンを前に、まずダラスがタイムアウトを取る。トルバートにとって幸いなことに、タイムアウト明けのダラスの攻撃フォーメーションを確認してから、今度はピッツバーグがタイムアウト。
ピッツバーグの4ヤードラインで試合は残り26秒。ダラスのフォースダウン・アンド・ゴール。
プレスコットがパスをするためにドロップバック。オフェンスの左側からラムがゴールラインの少し奥をフィールド右側に向けて走り、オフェンス右側からトルバートがゴールラインのぎりぎりか少し手前ぐらいをフィールド左側に向けて走り込み、二人はゴールラインの真ん中あたりで交差する形となった。
もう一人の、スロットのレシーバーのターピンはエンドゾーンの真ん中から右奥方向に向けて走り込み、彼にパスを通すチャンスもあったようだが、プレスコットはトルバートにパス。
トルバートはピッツバーグのディフェンスバックにぴったりとマークされていて、その相手選手がボールをはたこうと腕を伸ばしてきて、トルバートの手をはたくなか、トルバートはがっちり両手でボールを掴み、しっかりポゼッションを確保しながら地面に倒れこんで値千金のタッチダウン。土壇場でダラス・カウボーイズは見事な逆転に成功した。その後、ポイント・アフター・タッチダウンのキックを決めて20-17とリードを奪う。
それでもまだ20秒残っており、最後までハラハラしたが、なんとかそのスコアのまま試合終了。ダラスの試合でここまで興奮したのは久しぶりの事だ。
さて、第6週、現地時間10月13日(日曜日)のダラスの対戦相手は、昨シーズン、スーパーボウル一歩手前のNFCコンファレンス・チャンピオンシップ・ゲームまで勝ち進んだデトロイト・ライオンズ。ラン攻撃もパス攻撃も強力な上、ディフェンスにはエイダン・ハッチンソンというパスラッシュが上手いスター選手がいる。しかもダラスはけが人が多く、ディフェンスのエースであるマイカ・パーソンズやデマーカス・ローレンスに加え、今年新規加入し大活躍中のLBエリック・ケンドリックが負傷のため欠場する。ダラスのホーム・ゲームとはいえ劣勢は免れない。スター選手の3人を欠き[4]試合に臨むディフェンスが、デトロイトのランを封じ込めつつ、デトロイトがパス攻撃する際にサックやインターセプションで彼らのリズムをうまく崩せれば勝機はありそうだが、その蓋然性が高いかというと、そうでもない気がする。いずれにしてもタフな試合になりそうだ。
[1] あまりにもあっという間の事だったので、ピッツバーグの攻撃中にダラスがパスをインターセプトしてそのままダラスのディフェンスがタッチダウンでもしたのか、と興奮した。後で確認すると、ダラスQBダック・プレスコッからRBリコ・ダウドルへのタッチダウンパスだった。
[2] 最後のドライブの詳細についてはプロフットボール・レファレンスのウェブサイトを参照した。Pro Football Reference “Dallas Cowboys at Pittsburgh Steelers – October 6th, 2024.”
[3] ボールが急所を直撃し、相当痛かったようだ。
[4]早ければ第6週から復帰するかと期待されたコーナーバック(CB)のデロン・ブランドも、ダラス・カウボーイズの公式ウェブサイトによるとこの試合は欠場する、とのこと。
コメントを残す