
試合開始の予定時刻、日本時間8月16日(日曜日)の午前9時を少し過ぎ、しまった、プレシーズン開始の生の瞬間を見逃してしまった、と焦りながらゲームパスを開くと、いきなり0対7のビハインドの展開で、絶句する。
しかも画面には、サイドラインに余裕の表情でたたずむシーホークス選手数人と、先ほどのスコアリングドライブの数字が表示される。13プレー、80ヤードのドライブで経過時間は7分以上!?!ディフェンスはどうなってんねん!といきなり悪態をつきたくなる展開で、一気にテンションも下がる。
まあ、オフェンスがピリッとしてくれれば、気分も盛り上がってくるだろう、と気を取り直して攻撃の様子をしばらく眺めていると、期待の2年目のラニングバック、ジェイドン・ブルー選手のラン等の後で、第2のクォーターバック候補の一人、サム・ハウエル選手がオフェンス左手の7ヤードほどのフックのようなパターンを走った背番号83番のワイドレシーバーの選手にパスを投げ込んでいた。
残念ながら、レシーバーの真後ろにぴったりへばりついていたシーホークスの選手にあっさりパスをはじかれて、あえなくインコンプリート。パスを阻止し、両手を体の後ろにそえ、礼儀正しい感じの不思議な決めポーズでドヤ顔をするシーホークス選手の姿がアップで画面に映し出された。
やはりプレシーズンゲームは生で見るのはよそう、と自分に言い聞かせて、一旦ゲームパスを閉じた。
そして約90分後、ボロボロに負けてそうやな、と思いながら再度ゲームパスを開くと、おお、17対7と逆転に成功しているではないか!!やはり今シーズンは一味ちがうぞ!と気分が良くなったところで観戦は中断することとし、後でゆっくり試合結果と内容を確認することにした。
その後、録画映像で試合を最初から最後まで観戦して得た印象や思い浮かんだ疑問点は主に次のような内容だった。
- レシーバー陣がいい感じ。
- バックアップクォーターバックが二人とも調子が良さそう。
- カウボーイズはなぜラニングバックのマリク・デイビズ選手にもっとボールを渡さないんだろう。
- ディフェンスのパスラッシュが結構強力な印象。
さて、レシーバー陣については、カウボーイズの公式Xアカウント等が背番号6番のレシーバー、ドラフト外の新人フリーエージェントとして契約したキャムデン・ブラウン選手による、ワンハンドでのエレガントなタッチダウンキャッチ等を盛んに取り上げているが、ブラウン選手以外にも、新人レシーバーのアンソニー・スミス選手、新人タイトエンドのマイケル・トリッグ選手、ベテランレシーバーのジョナサン・ミンゴー選手が活躍していて、選手層がだいぶ厚そうに見える。実に頼もしい。
第2クォーターバック候補のサム・ハウエル選手とジョー・ミルトン選手が共に、パス成功率も高めで、インターセプトされる事もなく、見ていて安心感のあるプレーを見せていた。これなら、数年前のクーパー・ラッシュ選手がそうしたように、エースQBのダック・プレスコット選手が負傷欠場するような不測の事態が発生しても、強化された頼もしいディフェンスとコンプレメンタリーフットボールを展開しながら、チームを連勝へと導いてくれそうではないか!肩が異様に強そうなミルトン選手については、カウボーイズの番記者の1人が、昨年に比べて、ドロップバックするときの足の運び方が改善され、投げる時のバランスが良くなり、より正確な位置にボールを投げ込む事ができている、とX上の投稿で分析していたが、なるほど、と思わせる程のミルトン選手のプレーだった。(Fort Worth Star- Telegram紙のNick Harris記者による、”Cowboys QB Joe Milton III”に関する8月17日前後のX上の投稿。ミルトン選手のシーホークス戦の映像と昨年のプレシーズン1週目の映像を比較して解説している。)
QB自身がランをする時の走りについては、ハウエル選手の方がより得意なのかな、という印象を抱いたが、どうだろうか。残りのプレシーズン、この第2QBの座をかけた競争からも目が離せないし、いずれにしても、プレスコット選手、ハウエル選手、ミルトン選手の3QB体制は盤石そうである。(他のポジションとの兼ね合いで2QB体制となるのかもしれないが。)
第2、第3のランニングバック候補として、注目されやすいのは昨年ドラフトで獲得したジェイドン・ブルー選手とフィル・マファ選手だと思うが、シーホークスとの試合での活躍ぶりを見る限り、マリク・デイビス選手こそ、その役目に相応しい選手のように思えた。過去にも1キャリー平均4-5ヤードを稼いでいるイメージがあり(Pro Football Referenceのデータによるとキャリア通算4.6ヤード)シーズンを通して先発すれば普通に1000ヤード以上獲得できそうな気もするが、その割に出場機会が少なく、チーム首脳陣の評価が辛口気味に映ってしまう。デイビス選手はこのプレシーズンの初戦で7回走って39ヤードを獲得し、チームのリーディングラッシャーとなる活躍を見せ、平均獲得ヤードは5.6と、非常に効率のいいプレイぶりだった。ボールをもらってからオフェンシブラインが開けた穴に突っ込んで行くスピードと勢い、その決断の速さは抜きん出ていた印象で、試合後に、デイビス選手が練習で第2RB相当の扱いを受けるようになった、との話にも納得が行く。(カウボーイズ公式サイトDallasCowboys.comのTommy Yarrish記者のX上の投稿によると、シーホークスとの試合の後の練習で、エースRBジャボンテ・ウィリアムズ選手の次に、ファーストチームオフェンスに交じり練習に参加したRBはデイビス選手だったそうだ。)デイビス選手だけでなく、ブルー選手やマファ選手による残りのプレシーズンでの活躍と躍進にも期待したい。なお、シーホークス戦では、2023年にニューヨーク・ジェッツにドラフト5巡目で指名され、現在カウボーイズの一員であるイズラエル・アバニカンダ選手も7回のキャリーで36ヤードを獲得し、平均獲得ヤードは5.1と、ブルー選手並みの活躍を見せていた。
今シーズン、例年になくカウボーイズファンのテンションが上がっている最大の要因は、ディフェンス力が強化される道筋が見えてきた事にあると思うが、そのポジティブな見方が間違っていない、信じて良さそうだ、と思わせてくれた試合内容だった。オープニングドライブには絶望の淵に落とされたが、その後ディフェンスは見事な立ち直りを見せ、シーホークスによるフィールドゴール失敗が一回あったとはいえ、終わってみれば僅か7失点に抑えた試合となった。17対7で勝つことなど、1試合当たりの平均失点が30失点以上だった昨シーズンには到底想像出来なかった話である。(Pro Football Referenceによると、カウボーイズの2025年レギュラーシーズン17試合での総失点は511失点でNFL32チーム中32番目と最悪の成績だった。一試合平均は約30.1失点。)
期待の新人ケイレブ・ダウンズ選手は先発したものの、数プレーの出場にとどまったようだ。もはやレギュラーシーズンに入ってから先発することが確定的な選手のため、プレシーズンの試合にあまり出すつもりは元々ないのだろう。彼の本格的な活躍は、レギュラーシーズンに入ってからになりそうである。
それはさておき、ディフェンスのパスラッシュは冴えを見せ、ドラフト1巡目で指名されたディフェンシブエンドのマラカイ・ローレンス選手は、うまくQBにプレッシャーをかけられる場面もあり、今後の活躍が十分期待できそうな出だしとなった。パスラッシュが全体的に効果的だっため、シーホークスのQB陣は苦労したのではないだろうか。
昨シーズンにトレードでエッジディフェンダーのマイカ・パーソンズ選手を放出してからというものの、パスラッシュの強化が急務となっていたカウボーイズだっただけに、プレシーズンとはいえ、勇気づけられる試合展開であった。(ただ、合計サック数でみると3サックに留まり、あともう一押し欲しい気がする。)
さて、今週末はプレシーズン第2週で、日本時間の8月23日(日曜日)午前11:00からアリゾナ・カージナルスとの対戦となる。レシーバーとQB陣はシーホークス戦で見せてくれたような、ファインキャッチと正確なパス織り交ぜた、効率的なパス攻撃を継続できるのだろうか。そして、ネオカウボーイズディフェンスは、強さのさらなる片鱗を見せつけてくれるのだろうか。オンライン観戦が今から楽しみである。
また、シーホークスとの試合の後に、エッジディフェンダーのヴォン・ミラー選手が自由契約でカウボーイズ入りする事が決まった、というグッドニュースが舞い込んできた。ミラー選手はデンバー・ブロンコズ等で活躍し、キャリア通算のサック数は現役の選手の中で最多となる138.5を記録している。

もはや今年のチーム補強はほぼ終わったような印象だったため、ミラー選手加入のニュースには良い意味で驚かされた。過去に8月にカウボーイズ入りした選手として、つい思い出したくなるのが、1992年シーズン直前に加入した、ディフェンシブエンドのチャールズ・ヘイリー選手だが、チームのスーパーボウル優勝に大きく貢献したヘイリー選手のような、スピーディーで強力なパスラッシュをミラー選手は見せてくれるのだろうか。レギュラーシーズンの開幕が実に楽しみである。
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