【NFL観戦記】2026年第2週 ダラス・カウボーイズ対ワシントン・コマンダーズ

ワシントン・コマンダーズ相手にパスを31回投げて26本通し、279ヤード獲得したカウボーイズのエースクオーターバックのダック・プレスコット選手。パスの成功率は約84パーセント、パス一回当たりの平均獲得ヤード数は9。しかもタッチダウンパスを4回決めるなど、驚異的なまでに効率のよいパス攻撃でコマンダーズを翻弄した。

 先週、ジョン・ハーボー新ヘッドコーチ率いるニューヨーク・ジャイアンツに力負けし、完敗を喫したダラス・カウボーイズ。シーズン前に「今年は一味違うぞ!」と大いに盛り上がり、膨張した夢は、先週の試合の放映が始まってから一時間もたたないうちに吹き飛ばされてしまった。

 シーズン前の8月のトレーニングキャンプ中、ダラス・カウボーイズの公式Xアカウントやカウボーイズ番記者達が投稿した練習映像に、連日いちいちイイね!を押していた日々を思い出す。そのような、ポジティブな念を送ってカウボーイズを押し上げたい、と願いながら行ったオフシーズン中の地道な作業が、いかに無意味だったかという事を思い知らされる結果となってしまった。

 やはりポジティブシンキングだけでは事は進まない。とにかく今週は結果が必要だ。そのような悲壮な思いと、どうせまた失望させられるのだろう、という諦めの気持ちを内に両方抱え込みながら、ゲームパスの画面を開いた。

 すると、キックオフから一時間ほど経っていて、スコアは10-3でカウボーイズのリード。ひとまずほっとするが、序盤から乱打戦のような展開で、「ディフェンスは相変わらずあてにならないのか」と不安と失望感が募る。

 カウボーイズはどうもランが止められない。ディフェンシブ・ラインは相手オフェンシブ・ラインに相変わらず押し込まれている印象である。その上コマンダーズのクォーターバック、ジェイデン・ダニエルズ選手[1]に真ん中をスルスル、と抜けられると、誰も追いつけず、お手上げ状態。15ヤード、20ヤードスクランブルのオンパレードである。

 パスディフェンスも心もとない。コマンダーズのレシーバー陣はテリー・マクローリン選手と今季から加入したステフォン・ディッグス選手の二人がエース的存在で、過去にプロボウルに選出された事もあるその二人は、手ごわい。カウボーイズディフェンスはコマンダーズの攻撃を、なかなかサードアンドロングで断ち切れない。ダラスのパスラッシュはどうなってしまったのか。まだエッジディフェンダーのヴォン・ミラー選手も本領を発揮できていないのか、存在感が薄い気がする。

 一方、オフェンスはだいぶ本調子に近づいてきたものの、ラン攻撃が決まらない。ワイドレシーバーのシーディー・ラム選手、ジョージ・ピケンズ選手、ライアン・フロノーイ選手、そしてタイトエンドのジェイク・ファーガソン選手へのパスは面白いように通り、ファーストダウンの更新も比較的スムーズに行えてはいるものの、今一つ見ていて爽快感がなかったのは、そのせいだろうか。

 カウボーイズとコマンダーズがお互い1タッチダウンずつ追加して、スコアは17対10のカウボーイズリードとなった。そこでカウボーイズに攻撃権が移ったものの、気づいたころにはもうコマンダーズにまたボールが戻っていた。セカンドクォーターの残り時間が2分を切る中、コマンダーズはカウボーイズ陣内にボールを進め、カウボーイズは大ピンチである。

 セカンドクォーター修了間際に得点されるのは最悪の展開。そのような得点を許してしまったチームが敗戦する確率はかなり高いのではないだろうか。ここはなんとしてでもコマンダーズをフィールドゴールに抑えて、リードを保ちながらハーフタイムになだれ込みたいところだった。

 コマンダーズは結局、ゴールラインすぐ手前までボールを進めたものの、そこで攻撃はとん挫し、カウボーイズは辛うじて17対10のリードを握ったまま、ハーフタイムを迎えた。

 後半はカウボーイズペースで試合が進み、比較的安心して見ていられる展開となった。

 クォーターバックのダック・プレスコット選手は後半にも、エースレシーバーのラム選手へタッチダウンパスを決め、カウボーイズは結局37点までスコアを伸ばした。しかもそれがプレスコット選手にとってこの日4本目のタッチダウンパスとなり、キャリア通算では249本目。トニー・ロモ選手を抜き、カウボーイズ史上、最多のタッチダウンパスを投げたクォーターバックとなった。(90年代に3回スーパーボウル優勝を果たし、ダラス黄金時代を築いたトロイ・エイクマン選手はキャリア通算165本、80年代にカウボーイズを3年連続でNFCチャンピオンシップゲーム出場にまで導いたダニー・ホワイト選手は155本、70年代のスターでダラス歴代最高QBとの呼び声が高く、スーパーボウルを2回優勝したロジャー・スターバック選手は153本、1960年代のカウボーイズ創成期に活躍したドン・メレディス選手が135本と続く。)[2]

 新人セイフティのケイレブ・ダウンズ選手は、レシーバーへのハードヒットにより相手の落球を誘うなど、先週に続き活躍が目立ち、頼もしい限りである。また、デマービオン・オーバーショーン選手の負傷もあり、ラインバッカ―として先発出場を果たした新人のジャイショウン・バーハム選手は、相手選手をタックルしにいった際にボールを弾きだしてファンブルを誘うなど、気を吐いていた。二年目のコーナーバック、シェボン・レベル選手はディープパスを防ぐなどし、堅実な守備で光っていた。

 オフェンスはパス攻撃の好調が目立ち、ディフェンスは及第点以上の結果を残し、いよいよ来週はブラジルのマラカナ・スタジアムに乗り込んでボルチモア・レイブンズとの対戦となる。先週のジャイアンツのように、レイブンズも力でグイグイ押してくるのだろうか。そうなった場合、カウボーイズはレイブンズの圧力を撥ね退けられるのだろうか。

 今日の勝利を糧にして、来週も勝って連勝といきたいところ。ランオフェンスの復調とランディフェンスの進化、そしてパスラッシュの覚醒を期待しながら、日本時間9月28日(月曜日)の午前5:25分にキックオフする、ブラジルでの一戦を楽しみに待ちたい。


[1] ダニエルズ選手はハーフタイム直前のプレイで肘を負傷し、後半を欠場した。ダニエルズ選手とコマンダーズにとって気の毒な展開となってしまった。

[2] 出典はPro Football Referenceの「Dallas Cowboys Career Passing Leaders」のページ。
https://www.pro-football-reference.com/teams/dal/career-passing.htm

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