カウボーイズには是非勝ってもらいたい試合だが、様々な不安が湧き起こってくる対戦である。レイブンズのエース・クォーターバック、ラマー・ジャクソン選手に好き放題走りまくられるのではないか。巨漢ランニング・バックのデリック・ヘンリー選手に、カウボーイズのディフェンス陣は次々と薙ぎ倒されてタッチダウンを決められてしまうのではないだろうか。強靭なレイブンズのディフェンシブラインにラン攻撃を完全に阻止されてしまうのではないか、等々。いいイメージが浮かんでこない。
2026年9月28日(月曜日)午前5時40分、恐る恐るゲームパスを開いてみた。すると、どうしたことか。カウボーイズのエースRBジャボンテ・ウィリアムズ選手が、レイブンズ陣の最深部、ゴールライン手前2ヤードのところに飛び込むように倒れ込み、カウボーイズのファースト・アンド・ゴール!?
ただ、ここから一筋縄で行かないのが今のカウボーイズである。応援していて本当にストレスフルである。「今日のカウボーイズのラン攻撃をレイブンズは全く止められていない」という主旨の実況が聞こえてきたと思いきや、カウボーイズはなぜかランせずにパスを選択する。フォーメーションからして、走るならドロープレーしかなさそうな構えだった。レイブンズのパスラッシュがQBのダック・プレスコット選手に迫る。プレスコット選手は左に逃げ、エンドゾーンの左際に向かって走っていたワイド・レシーバーのライアン・フロノーイ選手に向けてボールを投げるが、ディフェンスにうまくカバーされていて失敗に終わる。結局、カウボーイズはフィールドゴールでお茶を濁す事になり、早くも「この試合、負けた」と思ってしまった。
何にせよ、オフェンスは30点以上取らないと、今のディフェンスの状態では残念ながら勝利は望めない。攻撃は一回も無駄にできないのである。一瞬大きく膨らんだ勝利への期待感は一気にしぼみ、ゲームパスを閉じた。
それでも、つい期待してしまう。再び画面を開くと、第1クォーターの終了間際だったろうか、14対10でレイブンズのリード。結構接戦ではないか!
ただ、両チームとも得点が入り過ぎである。しかも画面には、レイブンズのサイドラインのベンチで佇む、RBのヘンリー選手の後ろ姿が映し出されている。ほどなくして、彼がこの試合既に2タッチダウンを決めていて、ヘンリー選手にとって、これが〇試合目の2タッチダウンを決めた試合、といったようなテロップが流れてきた。新生カウボーイズディフェンス、相変わらずランが止められないようである。
ここでカウボーイズのオフェンスは50ヤードライン近辺までボールを進める。サード・アンド・ロングでエースレシーバーのシーディー・ラム選手へのパスが決まり、ファーストダウンを獲得する。そこで攻撃が停滞し、フォースダウンで残り1ヤード。カウボーイズのヘッドコーチでプレイコーラーのブライアン・ショッテンハイマー氏は、ここでどう出るのか。
「ギャンブルせずに、相手のオフサイドを誘おうとするだけ、何て弱気な采配を、まさかこの場面でしないよね?!」そのような、諦めと祈りが半々混じったような気持ちで、画面を凝視する。するとボールがスナップされ、プレスコット選手はウィリアムズ選手にハンドオフしたものの、敢えなくレイブンズディフェンスに止められて万事休す。フォースダウン残り1ヤードで、なぜQBスニークで攻めないのか。数年前に流行った、イーグルスのラグビースクラムのような押し込み型QBスニークが羨ましい。
そして、14対10でレイブンズがリードしたまま、レイブンズに攻撃権が戻る。ここでカウボーイズディフェンスは踏ん張り、レイブンズを何とかフィールドゴールの3点に抑えた。ここでディフェンスが耐え抜いた事は、後々ジワジワ効いてくるのだが、それはこの瞬間には知る由も無し。
何はともあれ、ボールはダラスに戻ってくるし、オフェンスにコンプレメンタリーフットボール精神を発揮してもらおうではないか!オフェンスはそこそこ順調に攻撃を進め、また50ヤード近辺まで到達したところだったろうか。まず一度サードアンドショートでパスを選び、ライン・オブ・スクリメージの後ろにいるウィリアムズ選手への横パス?!なぜこうなる?!しかも真ん前にレイブンズの選手が待ってましたとばかりに立ちはだかっているではないか。
ここでウィリアムズ選手が、昨シーズンの入団以来これまで何度もそうしてきたように、根性を見せる。まずは、本人も恐らく、「無駄だろうな」と思いながらだったのではないだろうか、軽く左右に腰を振って、「ここまで目の前でしかも真正面に相手に構えられたら効き目ないと思うけどしょうがないよね」というような素振りのフェイクを入れる。それではやっぱり状況は打開できず、最後は前方へ体を水平に発射させるような形でダイブ。これが功を奏し、辛うじてファーストダウン獲得に成功した。
ただ、カウボーイズはこの後またすぐサードアンドショートの状況に直面する。[1] ボールがスナップされ、ウィリアムズ選手にハンドオフしてそのまま右アウトサイドへのランか、と思いきや、左からモーションしてきたジェイク・ファーガソン選手へのはショベルパスだった。それが敢えなくファンブルに終わり(少なくとも審判団の判定はそうだった)実況チームはもしかしたらパスインコンプリートか、と言い出したものの、リプレイを見た限りではファンブルと判定されても文句は言えないような感じがした。気落ちして、一旦ゲームパスを閉じる事にした。
しばらく時間が経ち、再度画面を開くと第4クォーターで残り28秒。カウボーイズはタッチダウン目前、レイブンズのゴールラインのすぐ手前まで攻めこんでいるではないか!そこでラム選手へのパスはインコンプリートに終わったが、レイブンズのパスインターフィアランスの反則のおかげでファースト・アンド・ゴール。スコアは31対28でレイブンズがギリギリリード。カウボーイズ逆転勝利のチャンスではないか!?
そこから、レシーバーのジョージ・ピケンズ選手への外肩方向へのパスを通そうとするものの、ディフェンスのマークがピッタリ付いていて不成功に終わるなどして、早くもサードダウン。「これまでの文句は全て撤回しますので、ショッテンハイマー先生、ここはとっておきのプレイコールをお願いします」と祈念しながら画面を凝視する。残り時間は20秒程度だった気がする。
この場面で、プレスコット選手は再度ピケンズ選手の方に向けてボールを投じた。無情にもそのボールはピケンズ選手の頭上を遥かに超えて、あさっての方角へと飛んで行く。ディフェンスのカバーがタイトすぎて、インターセプトされるリスクを避けたのだろうか。その後、キッカーのブランドン・オーブリー選手がフィールドゴールを決めて、残り8秒程度でついにカウボーイズは同点に追いつく。
ちょうどこのあたりで、バスを降りて乗り換える必要があったため、観戦を中断せざるを得なかった。まだ試合の最後を見ていない。
まさかキックオフリターンでタッチダウンされた、なんて事はないだろう。オーバータイムはどうなったのだろうか?カウボーイズのディフェンスがレイブンズのオフェンスを止められるような気が、残念ながら余りしない。カウボーイズはこの試合中、ファーストアンドゴールからタッチダウンし損ねた事が何度かあったが、そこが勝負の分かれ目だったのだろうか。これから試合終盤の録画を見てみたい。。。
負けてた。しかも信じられない形で。それにしても、こんな負け方って本当にあるんだろうか、と言いたくなるような「マラカナの7秒」を振り返ってみたい。
前述したように、カウボーイズがフィールドゴールを決めて31対31の同点に追いつき、第4クォーター終了まで残り7秒となった。ここでまず、不可解な事に、オーブリー選手はエンドゾーンまでキックオフしてしまう。推測だが、コーチの誰かから、そうするよう指示があったのだろうか。結果、試合時間は減らず、7秒のままレイブンズは自陣35ヤードから攻撃を開始できる事になってしまった。カウボーイズはキックオフリターンで大きく前進されたり、そのままタッチダウンされたりする事を避けたかったのだろうが、ここはそのリスクを負ってでも、レイブンズにリターンをさせて、試合時間を数秒でも減らした方が良かったのではないだろうか?
残り7秒でレイブンズのオフェンスがフィールド上に出てきたのを見て、一気に不安が募った。「レシーバーのゼイ・フラワーズ選手にロングパスを通されて、そのままタッチダウンされてしまうのではないだろうか」と思いながら画面を見ると、ラマー・ジャクソンが投げたパスが、フィールド中央、カウボーイズの40ヤードライン近辺に向かって空中を舞い、レイブンズのレシーバーがジャンプしてキャッチ。
「これで無事、延長戦入りだな」と思ったのも束の間。その選手がパスをキャッチし、倒れ込んだ場所をみると、あれ、フィールドゴールのターゲット・ゾーンの表示が画面上に投影されているではないか。「え、フィールドゴールを蹴るオプションもあったのか」と今更ながらに気づく。
残り時間はゼロ秒と一旦は表示されていた。ただ、当然のことながらレイブンズはタイムアウトをまだ残している。結局、残りあと1秒のところでタイムアウトの行使が認められたようで、レイブンズのキッカーを含むスペシャルチームがフィールドに降り立つ。
ボールがスナップされ、キッカーがボールを蹴り上げる。そのボールは、放物線を描きながら、無情にもゴールポストのほぼど真ん中を通過していく。次の瞬間、レイブンズのラマー・ジャクソン選手らが歓喜の表情を浮かべて両手を広げながら、フィールド上を疾走していた。
[1]この後に登場するショベルパスのプレーも含め、このあたりの時系列は怪しいかもしれない。同じドライブでなかった可能性もある。いずれにせよ、印象に残るプレーだった。
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