先週、ブラジルでボルチモア・レイブンズ相手に第4クォーター残り7秒で30対30の同点に追いついたダラス・カウボーイズ。後は相手のキックオフリターンを凌いで、成功率の低いヘイルマリー・パスを1プレー防げばOKという「延長戦入り確実だね👍」という鉄板の状況で、まさかの敗北を喫してからの、テキサスへの帰国フライトは、さぞかし長く感じられたのではないだろうか。
NFLのチームが第4クォーター残り2分以内に相手に決勝点を決められて、タッチダウン一つ以内の得点差で負けた場合、翌週はほぼ負ける、という個人的に信奉しているジンクスの条件を満たしてしまった上、外国からの移動を挟むという、通常よりハードなスケジュール。しかも今度の相手はスーパー・エッジラッシャーのウィル・アンダーソン選手を擁するヒューストン・テキサンズである。(テキサンズのオフェンスもクォーターバックのCJ・ストラウド選手とワイドレシーバーのニコ・コリンズ選手のホットラインもあり、手強い。)
その上、カウボーイズは歴史的にテキサンズと相性が悪い。エキスパンションチーム創設1年目のテキサンズをホームに迎えたカウボーイズが、レギュラーシーズン初試合のテキサンズに完敗の憂き目にあった記憶が、昨日の事のように蘇ってくる。
このような経緯で、とても勝てる気がしなかったこの試合。月曜日の朝3時に目が覚め、ゲームパスの画面を開いたものの、気は重かった。画面上のスコアを見ると第2クォーター後半で6対10でテキサンズのリード。「おお、接戦だ。ディフェンスもなんとか10失点に抑えてるではないか!なのにオフェンスはなんで6点なんだ」といった第一印象で、わずか4点差が、とてつもなく重く感じられた。これはこのままひっくり返せないのではないか、と思いながら、ゲームパスの画面を閉じる。
この日の試合は日本時間午前2時開始である。見ようと思えば通勤前に試合を通して見る事もできたが、気が進まなかった。月曜の朝からネガティブな感情に支配される事態は避けたい。なので、今回は特に、細切れ風に要所要所だけ観戦する事にした。
さて、次に画面を開くと第3クォーターでカウボーイズの攻撃。サードダウンで、ファーストダウン更新まで残り1ヤード。ここでQBのダック・プレスコット選手はドロップバックし、フィールド中央の方にパスを投げる。ボールが飛ぶ先に待ち構えていたのは最も頼りになる男、背番号88番のシーディー・ラム選手だった。相手のタックルを受け止めながら、しっかりボールを確保して、無事ファーストダウン獲得。ラム選手はボールを地面上にスピンさせ、両手を顔の横近くに持ってくるスタイルの、体重計量時のボクサーのようなポーズを決めて何事か叫んでいる。困難な仕事を一つやり遂げた達成感と、肩の荷が降りた安堵感が合わさったような、自然に出てきたジェスチャーのように感じられた。そのプレーもあり、カウボーイズはその後タッチダウンを決めスコアを27対23とし、この試合はじめてのリードを握る。
だがしかし、である。その後、テキサンズにタッチダウンを許し、27対30と逆転されてしまう。ここで万事休すかと思ったその矢先、次にゲームパスを開くと、カウボーイズが相手ゴールライン目前まで攻め込んでいた。そしてその直後、右のスロットからゴールポストの方を目掛けて飛び出してきたラム選手に、スムーズにパスが通り、タッチダウン!トライフォーポイントも決まり、カウボーイズが34対30と逆転に成功し、試合の残り時間は後40秒。長い。怖い。先週の残り7秒に比べると、5倍以上の長さである。あり得ない話だが、なんだかタッチダウンを2つぐらい決められてしまいそうにさえ、思えてしまう。
しかも、今回は勝つか負けるかがこの40秒で決まる。延長戦入りはない。とてもではないが、この試合のラスト40秒を動画で見る勇気はなかった。
たまらずアスレチック誌のサイトで結果を確認しようとすると、スコアが目に入る前に、カウボーイズの今シーズンの勝敗が2-2と表示されている事に気づき、安堵する。ちゃんと勝っていた。
その後、動画で残り40秒を確認したのだが、テキサンズは最後、後もうひと息のところでヘイルマリー・パスが決まりそうなところまでカウボーイズを追い詰めていたようで、やはり生中継で安心して見れるような中身では決してなかった。
しかし、勝ちは勝ちである。この試合の数日前に、カウボーイズがピッツバーグ・スティーラーズからトレードで急遽獲得したエース・コーナーバックのジョーイ・ポーター・ジュニア選手も活躍していたようだし、ディフェンシブタックルのクイネン・ウィリアムズ選手とエッジディフェンダーのラシャン・ギャリー選手も、それぞれ1サックずつ決めていたし、ランニングバックのジャボンテ・ウィリアムズ選手は3タッチダウンの活躍を見せた。レシーバーのジョージ・ピケンズ選手も、肩越しから急降下してくるロングパスをディフェンスの選手にべったり張り付かれながらもいとも簡単にキャッチするという得意の技で、チームの窮地を救っていた。そして何より、この日一番のスターは、カウボーイズの背番号88番の正当なる継承者、エース・ワイドレシーバーのシーディー・ラム選手である。パスを17回キャッチし、189ヤードを獲得して、勝利を決める1タッチダウン。非の打ち所のない、大活躍だった。
次の試合は日本時間の10月9日(金曜日)午前9:15分開始のタンパベイ・バッカニアーズ戦。今週二試合目というこれまたハードな日程である。ここで勢いに乗って連勝と行きたいところだが、果たしてどうか。オフェンスがもう一段上のトップギアに入り、ディフェンスがさらに躍進してくれる事を期待しながら、キックオフを待ちたい。
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